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トンガリロ・クロッシング
''Tongariro Crossing''

内容 日帰りトレッキング 17km 約8時間
場所: 北島 トンガリロ国立公園 Tongariro National Park
難易度: 初級者から中級者向け 詳しくはお問い合わせ下さい
トンガリロへと続く道
トンガリロの全容

スタッフの体験レポート

1日が始まるトンガリロ国立公園には32ものトラックが存在する。ゆっくり歩いて2時間程のものから、6日間かけてこのエリアを一周するアラウンド・マウンテンまで種類は実に豊富だ。僕が行ったのは誰もが手軽に楽しめ、そしてトレイル・ランニングにもぴったりな3つ。それらはファカパパの村にある80年前に建てられた、シャトー・トンガリロの周りから簡単にアクセスできるから、歩き終えた後にはカフェでゆったりとした時間を過ごせる。

数ヶ月前からこのトラックに何度か挑戦しているが、何度もふられていた。トンガリロ国立公園は、ユネスコの世界遺産にも認定されており、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のモルドールの舞台になった。

雲はまだ寝ている昨日も雨で中止、だから本当は今日も行けないと思っていた。しかし今朝5時に起きた僕は、まだ暗い空に星を見つけた。ディスカバリー・ロッジからこの一帯で一番早い午前6時発のバスに乗り込む。ロッジのオーナーであり、ニュージーランド代表のマウンテン・ランナーのCallumの運転だ。トラックの入口付近で、彼から簡単な注意点と説明を受けた後、僕達はこの17kmの道にいよいよ足を踏み入れた。


ナウルホエ山頂からまだ辺りは薄暗いが、峰々の輪郭ははっきりと見える。バスが早いお陰で、まだ他の誰もいない静かな時間を楽しめる。最高の気分だ。円錐状の形をした、ナウルホエ山を右手に見ながら進むと、急な登り坂が姿を現す。坂の上から太陽の光りが射し込み、ナウルホエ山の斜面が神々しく輝いている。僕はその山に導かれるようにして登った。標高2287mの頂上に着く、西側の雲は下に見える。そして東側からの雲は、僕の目の前で山に当たり姿を変えている。眼下には噴火口群、そしてトンガリロ山が見えた。月の上に立っているのかもとさえ思ってしまうその光景は、トラックからたった1時間登っただけとはとても思えなかった。

サウス・クレーターと言われる噴火口跡を歩く。左にはトンガリロ山、背後にはナウルホエが聳え立つ。ここからは見えないが、奥にはルアペフという山もある。それらの山々を先住民のマオリの人たちは神として崇めてきた。確かにそうかもしれないと、そこを歩きながらぼんやりと思った。

エメラルド・レイクスを望む トンガリロ山までも行ってみる。往復1時間程の、ここからの眺めはまた一味違う。白い雲の線、その奥には緑の木々の帯が見える、そして手前の赤い土には山の陰が映る。なんだか不思議な光景だった。

トラックに戻り、右を見るとレッド・クレーター、そして先へ進むとエメラルド・レイクが、その色のまま目に映る。丘を登った僕の前にブルー・レイクが姿を現し、丘の下までは目にすることの無かった草が生え、火山の噴火で吹き飛ばされてきたであろう岩石が、不規則に散らばっている。そして道がゆっくりと下り始めてきた。雲の中を抜け、まだ背の低い草木しかない草原を抜けると、カテタヒ・ハットのある緩やかな斜面の向こう側に湖が見える、ロトアイラ湖であろう。よく見るとその奥にはタウポ湖も見える。

雲の隙間から ハットは大勢の人で賑わっていて、このトラックが世界的に人気があることに気付かされる。ここでランチを食べて、緩い下りを歩くこと1時間、急に原生林の中に入った。そこは背の高い木々も多く、今まで歩いてきた火山地帯の様な荒涼とした雰囲気はまるで無い。

広大な自然がずっと続く風景は今までにも何度か見たが、このような様々な色や形をした自然が、一つのエリアに納まっている風景は他では見たことがなかった。それはまるで映画の様で、僕はこの日、完全にこの17kmの映画に入り込んでしまっていた。
(2007年1月27日 丸田憲司)